かなり冷え込んでうっすら積もった雪で路面がつるつる。
一気に冬景色になった。路面がかなり滑りやすいので、危険である。むしろ、もう少し雪が積もっていれば転んでもクッション的に和らげられてよさそうだが、雪がないので滑ったら怪我しそうである。
今日は朝からSTEMというものを利用しに行った。これは日本語では走査透過電子顕微鏡というものだ。まぁ、なんかすごい顕微鏡である。球面収差などの補正によりビームを絞れるとか、高感度・高分解観察ができるらしい。カメラなどでも収差がどうのこうのと問題にしたりする。まぁ、専門ではないので詳しくはわからないが、光の場合は凹レンズと凸レンズを組み合わせてうまく補正するそうだが、電子線の場合は、磁場をどっち向きにかけても凸レンズにしかならないため、レンズの組み合わせで補正できず、収差が発生するらしい。この辺の顕微鏡の仕組みなどは、ほぼ物理学の領域なので難しい。とりあえずSTEMの試料ホルダーなどは、TEMとまったく同じなので、TEM試料が入れられて便利であった。また、画像保存がフィルムではなく電子データだし、蛍光板ではなくモニターを見ながら手元のコントローラーで操作するので、この辺はSEMに近い。観察モードとして、SEM像モードとTEM像モードがあり、簡単に切り替えられるほか、Z-コントラストとも呼ばれるHAADF像モードもあり、これが大変素晴らしい。原子番号Zの2乗に比例したコントラストの像が得られるため、高分子の中に金属微粒子が入っているみたいな場合では、金属微粒子がとても明るくくっきりと見える。これがただのTEMだと、高分子の影に邪魔をされてくっきり見えないところである。うーむ、ただもしかすると、普通のTEMでも暗視野像で特定の回折を選べばコントラストがつくのかもしれない。SEMではCOMP像が組成像などと呼ばれて、組成によるコントラストをつけることができる。あと、厳密に軸調整してやることで、格子像という縞模様の撮影もできる。これも汎用TEMだとなかなか難しくて、映っていたとしても、フィルムをうまく現像して、それをトレース台にのせてルーペで見ると、「ああ、縞模様っぽいの見えた」って程度。さらにこれをかなり高性能なスキャナで時間をかけて読み込んで、重いファイルを画像処理してきれいにしてようやくできるという感じ。それが画面で確認してできるので、一度に電子データとして得られるとは素晴らしい。というわけで、微粒子観察には役立つ装置だった。
しかし、STEMを「ステム」と呼んでしまうと、走査型トンネル顕微鏡(STM)もステムと呼ぶので紛らわしい気がするのだが・・・。